推し本紹介:プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本

システム本部価格.comショッピングシステム部のK.Nと申します。
サーバーサイドエンジニアとしてカカクコムに中途入社してから現在6年目になります。

現在もエンジニアとして軸足を置いておりますが、小・中規模のプロジェクトでプロジェクトマネジメントを行なう機会も増えてきたので、改めてプロジェクトマネジメントについて体系的に勉強しなくてはと考えております!

そこで出会ったのが本書「プロジェクトマネジメントの本物の実力が付く本」です。



本の概要

この本の著者は橋本将功さんという方です。この本を執筆された時点でPM歴23年目、Webサイト/Webツール/業務システム/アプリ/新規事業/DXなど500件以上のプロジェクトのリードとサポートをされてきた、プロジェクトマネジメントのご経験がとても豊富な方です。

この本は、組織力・コミュニケーション能力・リーダーシップを高められる考え方と行動を著者の方のこれまでのご経験や失敗から得た学びをもとに、丁寧に解説してくれています。

また、プロジェクトを継続的に成功させていくために必要な考え方や姿勢、価値観の持ち方といった マインドセット についてもご経験をもとに紹介してくれている点が本書の特徴でもあります。

私がこれまで書籍を通してプロジェクトマネジメントに関して学んできた内容は、計画や目標の立て方、進捗管理といったスキル的な部分に寄っていたものが多かったので、マインドセットに関する部分が特に参考になりましたし、日々の業務に今からでも活かしていける内容だと感じました。

今回はこの本で解説されている内容の中から、私が特に印象に残ったセンテンスを 3つ 紹介したいと思います!



どうやって不安と闘うのか

プロジェクトの不安は不確実性、つまり、「何が起こるかわからないこと」に起因します。そこで、不安の対処法としてまず必要なことは、早期に全体の見通しを立てて「今後どうなりそうか」という予測をプロジェクト担当者で共有することです。(中略・・・)漠然とした未知の可能性は人に不安をもたらしますが、明示された「わかっていないこと」は今後チームや関係者で協力して解決しなければならない「課題」へと変換することができるのです。
(引用:プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本. "第1章 不安を乗り越える". どうやって不安と闘うのか. 翔泳社, 2023, 56)

私が今までメンバーとして参加したプロジェクトのなかで、プロジェクトが円滑に進んでいると感じたときのプロジェクトマネージャーの方は皆共通して ”不安を取り除く” という行為が上手だったなと、思い出しました。

メンバーとしてプロジェクトに参画しているときはプロジェクトマネージャーがどこで手腕を発揮してプロジェクトが上手く進んでいるのかを考える機会はなかなかありませんでした。

プロジェクトマネージャーの方が不安を取り除くために「わかっていないこと」を「課題」へ変換する作業をして、作業内容が明確化するレベルでタスクに落とし込んでくれていたのでメンバーは不安が取り除かれ、プロジェクトが上手く進んでいるという心理状態だったのだなと思いました。



 「集団思考の傾向」

人間は不安によるパニックを避けるために、根拠の弱い主張にすがったり、自分たちに不都合な事実や意見を排除したり、見て見ぬふりをしたり、あえて「空気」を読んで自分の見解を表明しなかったり、集団の外に「敵」を見出したりすることで、集団の中で「満場一致」の状態をつくってその状況を乗り切ろうとする傾向があるのです。(中略・・・)プロジェクトマネージャーは、チームや関係者が不安によって「集団思考」に陥っていないかをつねにチェックする意識をもち、適切な心理的バランスを保っていくことが求められるのです。
(引用:プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本. "第1章 不安を乗り越える". 集団思考のリスクを回避する. 翔泳社, 2023, 59)

私もプロジェクトを進める中で、チームがこの思考に陥ってしまったシーンがあるなと、はっとしました。

本当は稼働中のプロジェクト内で進めた方が良いプログラムのリファクタリング作業をスケジュール都合で後回しにしたり、プロジェクトで利用する技術を選定する際に、無意識に自チームの実績ある技術を利用する前提で進めてしまったりするケースがこの思考に陥ってしまっているケースだと感じました。

今後は、プロジェクトマネジメントを行なう場合はもちろん、メンバーとしてプロジェクトに参加する場合でも、チームが集団思考に陥っていないか客観的な目線で確認する姿勢を今まで以上に意識していきたいと思います。

この本とは関連はありませんが、集団思考に関しては下記の記事でも詳しく解説されており、興味深い内容だったので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

参考:集団思考に陥らない方法



「非定期でインフォーマルな報告・相談ライン」

多くの企業で、定例の進捗会議やそれに類する会議体が用意されています。しかし、プロジェクトのリスクやトラブルを早期に検知するという目的では、あまり有効とはいえません。(中略・・・)インフォーマルな報告・相談のコミュニケーションラインで「ちょっと今日の定例で発注担当者の言動が怪しかったので、その対策をとっておきます」と話せるかどうかは、プロジェクトのリスクやトラブルを早期に検知してスムースに進めるうえで重要な仕組みとなります。
(引用:プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本. "第2章 組織力を鍛える". モニタリングを整理する際のポイント. 翔泳社, 2023, 123-124)

このセンテンスに関しては、価格.comの開発組織として、すでにこのような報告・相談ラインが機能しているなと思い、印象に残りました。

大きなプロジェクトを進める際や障害が発生した際にはフォーマルな報告・相談の機会を設けることもありますが、普段の業務のなかでリスクやトラブルが生じた場合には役職や職種、部の垣根関係なく、状況に応じた適切な手段でいつでもインフォーマルに報告・相談ができる組織であると感じております。

どんな事象であれ事実を受け止め、次の最善のアクションを決めていこうという姿勢や、築き上げてきた心理的安全性の高さは、価格.comの開発組織の強みだと思います。



 まとめ

この本を読んで、プロジェクトが成功するために必要なことはプロジェクトマネージャーの見積もりやスケジュール管理能力、メンバーの技術力などのビジネススキルだけではないということを再認識できました。

プロジェクトマネージャー自身やプロジェクトマネージャーを育成する立場の方が持つべきマインドセットであったり、組織作りや人材確保・人材育成であったり、さまざまな要素がプロジェクトの成功・失敗要因に影響しており、今まで無意識にできていたことも、できていなかったことも意識的に少しずつ日々の業務で取り組んでいきたいと思いました。



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